Japanese
English
Bedside Teaching
抗高脂血症薬による再狭窄予防
Prevention of Restenosis after PTCA by Lipid-lowering Drugs
横井 尚
1
,
山口 洋
1
Hisashi Yokoi
1
,
Hiroshi Yamaguchi
1
1順天堂大学医学部循環器内科
1Department of Cardiolody, Juntendo University
pp.499-505
発行日 1996年5月15日
Published Date 1996/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901252
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冠動脈形成術(PTCA)は冠動脈疾患の血行再建術として冠動脈バイパス術(CABG)とともに確立された治療法だが,約40〜50%の症例に再狭窄が生じる.この再狭窄はPTCAのみにとどまらず,DCAやSTENTといったNew Deviceを用いたカテーテルインターベンション施行後にも生じ,これらの治療法のアキレス腱となっている.その機序には内膜過増殖,血栓形成,細胞外マトリックスの形成,Elastic Recoil,さらに血管のリモデリング(再構築)などが考えられており,現在動物実験モデルでは再狭窄を抑制することができても,臨床上では再狭窄予防法として有用とされた治療はない.この再狭窄に脂質が関与しているか否かという問題は議論の多いところであるが,再狭窄の予測因子について論じるとき,手技的因子・病変的因子に加え患者側の要因を考慮する必要があり,そこに脂質の関与があると考えられる.また再狭窄の主たる原因である内膜肥厚は,短期間で進展した動脈硬化症の臨床的モデルの一つとして捉えることができ,動脈硬化の進展に脂質が寄与していることから,再狭窄の過程で脂質が重要な役割を担っている可能性があると思われる.
本稿では,まず血清脂質と再狭窄について述べ,次に主題である抗高脂血症薬と再狭窄について話を進めて行きたい.
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