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特集 下肢のむくみ
下肢の循環動態
Peripheral Circulation and Microcirculation in Lower Extremities
大橋 俊夫
1
Toshio Ohhashi
1
1信州大学医学部第1生理
1The 1st Department of Physiology Shinshu University School of Medicine
pp.605-610
発行日 1993年7月15日
Published Date 1993/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900689
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はじめに
今回の特集「下肢のむくみ」を考えるための,循環生理学に関する基礎知識は次の生理学学士試験問題(信州大学平成4年度)で評価することができよう.問題:「長時間動かずに起立して仕事をしているデパートの売り子さんは,夕方帰宅時に靴が窮屈に感ずることが多いという.その生理学的根拠を説明せよ」.この問題のなかに含まれているポイント—①靴が窮屈に感ずるのはどのような生体現象として説明できるのか,②長時間動かずに起立しているとどうしてこのような生体現象が起こってくるのか—を筋道を立てて説明ができれば,この序論を飛ばして次の各論に移っていただきたいと思います.
お読みいただける方とご一緒に先ほどの問題の正解を考えてみましょう.靴が窮屈に感じたのは足全体の容積が動かずに起立していたために,一過性に増加したことによるのであろうと思われます.足の中で一過性に容積を変えられるものは何であろうか.まず,血液貯留を主な生理機能としている静脈(別名容量血管と呼ばれる)内に多量の血液が停滞したために(欝血)足の容積が増したことを考えなければならない.次に,血液以外の細胞外液(組織液といわれている)量が増加したために足の容積が増えたことも考えなければならない.後者が特集の足のむくみ,浮腫と呼ばれるものなのです.
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