Japanese
English
綜説
慢性呼吸器疾患患者の性格と心理
The Charactor and Mental State of the Patients with Chronic Respiratory Disease
江頭 洋祐
1
Yousuke Egashira
1
1公立玉名中央病院
1Public TAMANA Central Hospital, Pulmonary & Allergy Division
pp.734-741
発行日 1992年8月15日
Published Date 1992/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900516
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
人間の一生は,最初に誕生の産声をあげた時から,最後に息をひき取るまで,その生命と情動活動は呼吸という基本的生理活動によって表現されている.つまり,呼吸は情動と密接に結びついているといえる.一方,慢性呼吸器疾患の患者は長期の罹病と呼吸障害による日常生活動作の制限およびそれに伴う心理社会的制約によって,その情緒および心理はかなりの程度に障害されることが推測される.まして慢性呼吸不全状態に陥ると,呼吸不全のガス代謝異常による意識障害や精神神経系の障害と重なって,慢性疾患としては最も精神心理的異常を生じやすい状態になる.
呼吸不全の代表的症状である呼吸困難という身体的症状は,心理的には窒息への不安や死につながる恐怖として感知される.さらにそれらの不安や恐怖が呼吸数を増加させ呼吸促迫の状態になると,呼吸困難感はさらに増幅されて悪循環を生じる.しかし,これらの慢性呼吸器疾患の情動の異常は全ての患者にみられるわけではなく,また,その呼吸障害の主要なパラメーターと必ずしも相関しているわけではない.やはりその表現には患者自体の心理的特性や基本的性格そのものが,かなりの影響を有していることが経験される.
Copyright © 1992, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.