Japanese
English
特集 心不全における臓器相関
ショックと脳循環
Shock and Cerebral Circulation
松下 幸司
1
,
栗山 良紘
1
,
澤田 徹
1
Kohji Matsushita
1
,
Yoshihiro Kuriyama
1
,
Tohru Sawada
1
1国立循環器病センター内科脳血管部門
1Cerebrovascular Division Departrnent of Medicine, National Cardiovascular Center
pp.227-232
発行日 1992年3月15日
Published Date 1992/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900435
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はじめに
脳の重量は全体重のわずか2%に過ぎないが心拍出量の15%,全酸素消費量の20%を脳組織が占めているといわれる.しかし,脳組織内には溶解酸素はほとんど存在せず,絶えず循環血よりの酸素供給を必要とする.また脳組織は本来,そのエネルギー源としては90%までがグルコースであり,ごく一部はグリコーゲンとして脳組織内に貯蔵されるといわれるが,その総量はわずか1〜5分程度で完全に消費されてしまうと考えられている.そのため脳組織での酸素-エネルギー代謝平衡状態は実に綿密な形で維持されることが必要であり,その破綻は即座に脳組織に致死的障害を与え得ることは容易に想像がつく.今回のテーマである「ショックと脳循環」の関わりを考えていく上で,こうした脳組織のもつ虚血(ischemia)や低酸素(hypox-ia)状態に対する脆弱性(vulnerability)は,最も認識されるべき特徴であり,この点を中心に論を進めてみたい.
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