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酸素欠乏状態の心臓に対するセレンの影響を検討する目的で,妊娠第16〜18日マウス胎児の心臓を酸素下で,MEM+O.5μg/ml[Na2SeO3](MEMS)およびMEMのみで24時間培養し,さらにこれを無糖MEMと無糖MEMSの2グループに分け,それぞれを酸素欠乏状態に置いて10,15,20,30,40,60分,それ以上長く培養した.その結果,糖および酸素欠乏状態で培養したマウス胎児心臓の生存と拍動が,セレンによって延長維持されることを実証した.ランタン標識法を用いた研究では,心筋細胞膜とミトコンドリア膜の透過性機能が,セレンによって保護されることを明らかにした.電顕的に構造上の損傷が発生した時,セレン添加により不可逆性の損傷に至るまでの時間を延長することができた.セレンを添加して培養した心筋細胞にリボソームが増加していることから,恐らくセレンは,糖および酸素欠乏状態で,蛋白合成に促進的な役割を演じているものと思われる.
Fetal hearts taken from the 16th to 18th day of pregnant mice were cultured in MEM+0.5μg/ml of sodium selenite [Na2SeO3] (MEMS), and in MEM alone with oxygen for 24 hours, and then the two groups of hearts were exposed to 10, 15, 20, 30, 40, 60 min and a long term of anoxia in glucose-free MEMS and glucose-free MEM respectively. Results showed that the survival and beating of the cultured fetal mouse hearts with experimental free-glucouse and anoxia were prolonged by selenium.
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