Japanese
English
特集 冠動脈硬化に合併する重要臓器の動脈硬化病変
動脈硬化による主要臓器障害の疫学
Epidemiology of Major Organ Damage due to Arteriosclerosis
堀部 博
1
Hiroshi Horibe
1
1愛知医科大学衛生学
1Department of Hygiene, Aichi Medical University
pp.627-634
発行日 1991年7月15日
Published Date 1991/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900302
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はしがき
人類の生命と健康を脅かす原因を歴史的にみると,まずは食べ物と外敵であった.他の人間および動物と相互に依存し,かつまた敵であった.この人間と広義の環境の関係は現在まで続いており,今後も続く.かつては敵は人をおそう猛獣であったが,近年はウイルスである.細菌・ウイルスなどの微生物は,人が利用すると共に人の方が利用されて病気を引き起こしている.食べ物も不足して困ることもあれば,腹一杯食べて幸せな時もあれば,食べ過ぎておなかをこわすこともある.これらの人との関係は即物的であり,即時的であるかぎり人はこれに対して用心してきた.
ところが人にとって有益であろうと有害であろうと,目に見えなかったり,何年も先のことになると,人は不用心になる.血のしたたる分厚いビフテキやおいしいケーキを腹一杯食べても,おなかをこわさない程度にしておけば,数時間すればまたおなかがすく.まさかそのために高脂血から粥状動脈硬化が進行し,何年も後に急性心筋梗塞を引き起こすことは分からなかった.近年ようやくそれが証明され,動脈硬化性疾患の多くは予防できることが明らかとなった.
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