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Bedside Teaching
SGLT2阻害の意義と積極的適応—病態生理と節約型遺伝子仮説から考える
Importance of Inhibiting Sodium-Glucose Co-transporter and its Compelling Indication in type 2 Diabetes:Pathophysiology and Thrifty Genotype Hypothesis
木村 玄次郎
1
Genjiro Kimura
1
1労働者健康福祉機構旭労災病院
1Asahi Rosai Hospital, Japan Labour Health and Welfare Organization
pp.89-97
発行日 2016年1月15日
Published Date 2016/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205888
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はじめに
これまでの糖尿病治療では,如何にしてインスリンの作用を発揮させ血糖をコントロールするかに主眼が置かれていた.いわば,生化学の糖代謝マップを駆使し,綿密かつ安全に血糖を低下させるかが問われていた.これに対して新しく登場したsodium/glucose co-transporter(SGLT)2阻害薬は,腎尿細管におけるグルコース(糖)の再吸収を抑制し,尿中へ糖を排泄させることによって血糖を下げる薬剤である1〜3).インスリンとは独立して血糖を低下させるため,インスリン分泌が減少する極めて特異な糖尿病治療薬である.当然,効果のみならず副作用発現の面でも,これまでの糖尿病治療薬とは大きく異なる.
そこで,SGLT2阻害薬の意義や特徴について腎・循環器の立場から考察し,どのような患者に積極的な適応となるのか,注意すべき点は何かなどを中心に病態生理に基づいて議論してみたい.
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