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Current Opinion
肺がんの分子標的薬耐性の克服治療の最新情報
Up-dated Information of Targeted Drug Resistance and Its Therapy in Lung Cancer
矢野 聖二
1
Seiji Yano
1
1金沢大学がん進展制御研究所腫瘍内科
1Division of Medical Oncology Cancer Research Institute, Kanazawa University
pp.98-102
発行日 2016年1月15日
Published Date 2016/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205889
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肺がんの分子標的薬耐性をめぐる最新の話題
[1]はじめに
肺がんは,わが国の悪性新生物の死亡原因の1位であり,肺がんによる死亡数はいまだ増加し続けている.肺がんにおいては,EGFR遺伝子変異1)の発見を皮切りにALK融合遺伝子2)やROS-1融合遺伝子,RET融合遺伝子など,数多くのドライバー遺伝子異常が発見された.EGFR遺伝子変異を有する肺がん(EGFR変異肺がん)には3種類のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)が,ALK融合遺伝子を有する肺がん(ALK肺がん)には2種類のALK-TKIが認可されて,日常診療の場で使用されている.EGFR変異やALK融合遺伝子以外のドライバーを有する肺がんに対しては,現在対応する分子標的薬による治験が行われており,有効性が検討されている.一方,EGFR-TKIやALK-TKIは,それぞれEGFR変異やALK融合遺伝子を有する肺がんに対し,いったん奏効し一定の延命効果を示すが,獲得耐性により再発することや一部の症例においては初期耐性を示すことが次なる臨床的問題となっている.これらのうち,臨床的に最も頻度が高いEGFR変異肺がん(日本人の肺腺がんの約50%)のEGFR-TKI耐性について最近の状況を概説する.
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