血管追跡型超音波パルスドプラ法

Non-invasive measurement of the left coronary blood flow using a vessel tracking ultrasonic pulsed Doppler flowmeter

はじめに

　超音波法を用いた無侵襲的冠動脈血流測定は冠動脈が心拍動に伴い動き一定しないなどいくつかの間題により体表面からの測定は困難とされていた。しかし1985年Nanda^1）らにより左冠動脈血流測定例が報告されて以来，いくつかの施設より同様の報告がなされ日本においても宮武^2），伏島^3）らによる左冠動脈末梢の冠動脈血流測定が報告されるようになった。一方，測定装置の改良も進み，Gramiakら^4）による連続波ドプラ法を用いた測定，著者^5），Greeneら^6）による血管壁追跡回路つきドプラ装置を用いた測定などが報告され，今後これらの臨床応用が期待されている。以下，超音波法を用いた冠動脈血流測定の問題点およびその解決策として我々が開発した血管追跡型超音波パルスドプラ血流計について述べる。