綜説
Tissue plasminogen activator
松田 保
1
Tamotsu Matsuda
1
1金沢大学医学部第三内科
1The 3rd Department of Internal Medicine, School of Medicine, Kanazawa University
pp.592-597
発行日 1987年6月15日
Published Date 1987/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205069
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はじめに
血管が破綻して出血を生じた場合,血管が収縮することのみによっては止血は困難であり,血小板の粘着,凝集と,フィブリンの形成による血管の破綻部位の閉塞が必要である。しかし,このような止血機序の発現は,単に血管内面の異常によっても生じ得る。血管壁で産生されて血小板の凝集を阻止するprostacyclinや,流血中に存在し,血管壁の酸性多糖類の存在下で凝固機序の進行を阻止,するantithrombin III (AT III),heparin cofa—ctor II (HC II),thrombin,thrombomodulinの存在下で凝固阻止的に作用するprotein C (PC),proteinS (PS)などは,このような止血機序が過剰に作動して血栓を生ずるのを防止している。しかし,平均寿命の延長,老年者層の拡大とともに動脈硬化などを基盤とする血栓症の発現頻度はむしろ増加する傾向にある。
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