Japanese
English
特集 プロスタサイクリン
心疾患とProstacyclin
Prostacyclin in cardiovascular diseases
岸 幸夫
1
,
沼野 藤夫
1
Yukio Kishi
1
,
Fujio Numano
1
1東京医科歯科大学第三内科
1The Third Department of Intemal Medicine, Tokyo Medical and Dental University, School of Medicine
pp.865-869
発行日 1985年7月15日
Published Date 1985/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204704
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1976年Vaneらにより発見されたProstacyclin(PGI2)1)は,その強力な血小板凝集抑制作用が大きな注目を浴び,3年後の1979年には早くも動脈硬化患者における臨床応用が始まっている2)。本物質は,生理的なpHにおいては化学的に不安定な物質であり,経口投与ができないなどの短所があって治療薬として広く応用されるまでには至っていない。しかし,抗血栓,血管拡張,抗動脈硬化,組織保護作用(cytoprotection)などにおける本物質の特徴が明らかにされるにつれ,臨床応用に適する数多くの安定なPGI2誘導体が誕生しつつある。将来これらの薬物のほか,内因性のPGI2産生を促進する薬物の開発,臨床応用が急速に進むことが考えられる3)。本稿では,まずPGI2の心血管系に対する薬理作用を概説し,次に虚血性心疾患を中心とした心血管系の病態との関連について触れ,その臨床応用の可能性を追求してみたい。
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