特集 カテコールアミン
無麻酔ヒトにおいてisoproterenolが示す心臓変時β受容体に対する"親和性"—"正常"者と甲状腺機能亢進症患者における検討
湊口 信也
1
,
伊藤 裕康
1
,
東内 直己
1
,
石村 耕二
1
,
鈴木 さくら
1
,
平川 千里
1
1岐阜大学第2内科
pp.1139-1145
発行日 1984年11月15日
Published Date 1984/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204544
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当教室における一連の研究として神経循環無力症(NCA)の患者,境界型高血圧症(borderline hyperten—sion)の患者にisoprotercnol (ISO) infusion testをおこない,用いたISO各種用量と心拍増加反応(ΔHR)に関する用量—作用曲線をLineweaver-Burk plotにて描き,それより作図的に求めたISOが示す心臓変時β受容体(chronotropicβ-adrenergic receptor)への"親和性"("affnity")は,"正常"者に比しNCAの患者において明らかに高く1),境界型高血圧症患者においては"正常"者のそれと変わらなかったことを報告している2)。
一方,甲状腺機能亢進症の患者においては頻脈,高心拍出,収縮期高血圧などのhyperdynamicな循環状態が認められ,これは,交感神経系の緊張状態によるものと考えられてきた。しかし,甲状腺機能亢進症の患者において血漿カテコラミン濃度の増加は認められず3,4)ことに近年著しい発展を遂げたradio-ligand-binding method(〔3H〕-dihydroalprenolol)を用いて測定された甲状腺機能亢進状態の動物における心臓β受容体数は明らかに増大していること,それから推定されるカテコラミンに対する心臓β受容体の親和性は変わらないことが示され5〜7),本症におけるhyperdynamicな循環状態の少くとも一部は心臓β受容体の数の増加に起因する可能性が示唆されるにいたっている。
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