Japanese
English
解説
人工呼吸の肺機能
Pulmonary function in artificial ventilation
諏訪 邦夫
1
Kunio Suwa
1
1東京大学医学部麻酔学教室
1Department of Anesthesiology, Faculty of Medicine, University of Tokyo
pp.1013-1017
発行日 1984年10月15日
Published Date 1984/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204523
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人工呼吸の肺機能は,ポリオの時代から30年以上にも亙って研究されてきているが,本稿ではとくにその中でも重要な二つのテーマ,即ちコンプライアンスの減少とガス交換の障害とにしぼって,近年確立した知見と筆者の仮説を加えて説明したい。対象は健常肺の人工呼吸である。なお実験データの部分は殆どが「麻酔下での人工呼吸」によるものであり,原則として手術の行われていない状態を検討している。従って,麻酔のない状況でも基本的には成立すると考えてよい。なお,「麻酔+手術」は麻酔単独とはかなり異なった病態をもっており,「手術時の人工呼吸」をただの人工呼吸の病態と考えることは誤りである。手術時の肺機能はむしろ「手術」という大きな外因の加わった状況での病態であって,手術という機械的な要素のほかにケミカルな反応も加わった,いわば軽度のARDSの状態とすべきであることを予め断っておきたい。
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