巻頭言
解離性大動脈瘤の現況
田辺 達三
1
1北海道大学医学部第2外科
pp.345
発行日 1982年4月15日
Published Date 1982/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203954
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最近,解離性大動脈瘤が増加の傾向にあり,その診療に関心が高まってきている。
解離性大動脈瘤は循環器疾患のなかで,脳血管障害,心筋梗塞,肺塞栓とならんで急死に至る重篤疾患とされている。その病態はきわめて複雑多岐にわたっており,主として解離発生部位(病型),解離成因(病因),発生後の経過時期(病期),解離の進展範囲,および進展に伴う合併症などによって,その臨床像はさまざまな様相を示すことが知られてきている。従来は急性進展の時期を幸いに脱出しえた少数例の比較的病態の安定した慢性例が主として臨床家の対象となってきたが,実はかかる慢性例はむしろ氷山の一角であり,本症に対する検索がすすむにつれて多くは激烈,急性に発症し,破裂や主要動脈の血行障害によって急死することが知られてきた。今日では重大な救急疾患であり,心筋梗塞とならんでその診断,治療がしばしば論じられるようになってきている。
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