Japanese
English
Bedside Teaching
特発性心筋炎の臨床
Idiopathic Myocarditis
大国 真彦
1
Masahiko Okuni
1
1日本大学医学部小児科学教室
1Department of Pediatrics, Nihon University School of Medicine
pp.779-783
発行日 1971年9月15日
Published Date 1971/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202307
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Ⅰ.心筋炎の病因と病型
心筋炎は日常臨床上かなり多く見られるものであるが,その病因としては非常に多くのものがある。これを表1に示す。実際に心筋炎をおこしうるものとしては細菌,ウィルス,リケッチア,マイコプラズなどの病原体が知られており,このうちでとくに注目されているものは,ジフテリアとコクサッキーウィルスによるものであり,後者にも流行例が報告されている。膠原病性のものではリウマチ熱によるものが非常に多く,心筋炎といえばリウマチ性と考えられた時代もあったが,実際にはリウマチ熱のばあいは心筋炎が単独に起こることは稀で,ほとんどすべて心内膜炎を伴い,時に心包炎を伴って汎心炎の型をとることが多い。このことはリウマチ性心炎は心雑音を伴うのが大きな特徴であることを意味する。原因不明の心筋炎は,特発性心筋炎とも呼ばれるものであるが,これはウィルス性の可能性が大きい。
最近はジフテリアを含む細菌性心筋炎は非常に少なくなり,ウィルス性心筋炎がとくに注目されるようになってきている。これは一つには新生児期における心筋炎の流行の問題もあり,また散発したばあいの診断と治療の問題もあるが,他方心筋炎の結果としての原発性心筋症発症を問題にしている人もある。
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