Japanese
English
Bedside Teaching
心筋硬塞における心筋破裂
Myocardial Rupture in Acute Myocardial Infarction
三浦 勇
1
,
秋元 富夫
1
Isamu Miura
1
,
Tomio Akimoto
1
1東京女子医科大学日本心臓血圧研究所
1Heart Institute, Japan, Tokyo Women's Medical College
pp.723-731
発行日 1970年8月15日
Published Date 1970/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202180
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はじめに
Intensive Coronary Care Unit (C. C. U.)の普及によって不整脈死が著しく減少した今日,心筋破裂は急性循環不全とならんで,急性心筋硬塞における最も重要な,かつ宿命的な合併症の一つとして注目に価すると思われる。その発生頻度は必ずしも高くはないが,破裂または断裂を生じた部位によって多少の差異はあるにせよ,予後はきわめて不良である。唯一の救命手段は外科的治療法にあると考えられるが,手術時期の問題,進行する循環不全という悪条件下に大侵襲を余儀なくされるジレンマ,脆弱な心筋壊死組織を縫合閉鎖するという技術上の困難性などから,手術の成功は容易に期待しがたい。筆者らは,東京女子医大C. C. U.において,過去2 1/2年間に250名の急性心筋硬塞症を治療したが,心筋破裂16名を経験し,うち14名を失なっている。心筋破裂の発生頻度は7%,死因の19%を占める。ほかに剖検を行なわなかったため,死亡原因が判然としない急死例5名のうち3名が死亡前後の状況からみて心室破裂と推定される。
過去,心筋破裂を病理学的に検討した報告は少なくないが,臨床経過を詳細に追及した論交にはほとんど接しない。わがくににおいては皆無である。本稿では,診断が確定している心筋破裂16名の臨床像および病理所見に基づいて,本邦人における心筋破裂の特殊性について私見をのべ,心筋破裂の誘因,寄与因子,予測の可能性,治療法などを検討したいと思う。
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