Japanese
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ジュニアコース 検査データのみかたと考えかた(2)
評価の心がまえ—臨床病理学の立場から
Estimation of Laboratory Data
富田 仁
1
,
若林 章
1
,
中野 達雄
1
Shinobu Tomita
1
,
Akira Wakabayashi
1
,
Tatsuo Nakano
1
1京都大学医学部中央検査部
1Central Clinical Laboratory of Kyoto University Hospital
pp.881-886
発行日 1967年10月15日
Published Date 1967/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201831
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はじめに
最近の臨床検査の進歩は著しく,これまではすぐれた感によっていたものが,しだいに数値となって表現されるようになった。その数値を読むための基準として,正常値なるものが必要である。しかしその正常値を出すことは,労多く効少ない仕事である。年齢差,性別差,人種差はもちろんのこと,日差,月差,季節差,環境差などの生理的変動があるし,厳密には個人一人ずつの正常値を知っていなければならないことになる。そして労多くしてやっと正常値を作った頃には,検査方法が改良されているということがしばしばある。そこで若干正常人について検討してみて,それが先人が出した正常値と大差がなければ,それを正常値として利用している場合が通常である。したがって正常値は臨床検査に関する著書なら必ず付録としてのっている。
Massachusetts General Hospital1)のNormal Laboratory Valuesなどよく利用されているが,順次改訂されている。Plenert and Heine2)のNormalwe—rteもとくに小児期のものだけに努力の集積である。本邦においても,正常日木人の血漿蛋白分画値は,慈大杉本生理学教室3)〜5)の広範な研究があるし,血液像については,小宮悦造6)編の偉大なものがある。
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