Japanese
English
症例
脈無し病—その1経験例と文献的考察
Pulseless Disease. A Case Report and Bibliographic Reviews.
大橋 敏之
1
,
太田 保世
1
Toshiyuki Ohashi
1
,
Yasuyo Ota
1
1慶応大学医学部笹本内科
1Dept. of Internal Medicine, School of Medicine, Keio University.
pp.451-459
発行日 1964年6月15日
Published Date 1964/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201333
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I.はじめに
単に,頸部或は上肢の脈搏を触知できないということは,Waterlooの戦における一将校や,米国南北戦争にて胸部戦傷後4年目に,脈搏を触知しなくなつたという記載がある1),いわゆる脈無し病に関しては,Thurlbeckら2)は1827年のAdamsの報告を最初と主張しており,Ask—Upmark3)らは,1856年のSavoryの報告が文献上最古とし,一方Kalmansohn4)は,1875年のBroadbentの報告が最初であるという。しかし多くは,1908年,眼科医たる高安右人5)の「奇異ナル網膜中心血管ノ変化ノ一例」の報告及び大西,鹿児島の類症追加5)をもつて嚆矢としている如くである。
以来200例ほどの本症例が報告され,清水・佐野により「脈無し病」と命名せられたこの疾患について,最近我々の経験した興昧ある1例を報告するとともに,内外の文献より,脈無し病に対する小考察を試みたいと思う。
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