Japanese
English
綜説
スポーツ心臓
Sportherz, Athletic heart
北村 和夫
1
,
小川 登
1
,
山倉 克麿
1
,
的場 周三
1
K. Kitamura
1
,
N. Ogawa
1
,
K. Yamakura
1
,
S. Matob
1
1順天堂大学第二内科
1Juntendo University, Second Clinic.
pp.880-892
発行日 1959年10月15日
Published Date 1959/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200819
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I.まえおき 所謂,スポーツ心臓(Sportherz, Athletic he—art)という言葉は既に今世紀の初め頃から活発な論議の的となつており,いくらか古典的な香があり,又一方通俗化した解釈が世に行われている傾向もあつて,現在わが国の臨床家の間には,あまり魅力ある問題として取り上げられていないように思われる。米国でも,例えばP.D.White等は,彼の著書Heart Diseaseの中で,所謂スポーツ心臓の存在に対して"unknown"といつて懐疑的な立場をとつている。唯,独逸学派の間では,国情の故もあつてか,尚最近でも盛に討論が行われているようである。殊に先年来朝したL.Heilmeyerが本誌で,「心臓の力動に関する知見」と題して紹介したように,彼の教室のH.Reindellが,組織立つた永年の研究に,更に,心臓カテーテル法という従来に見られなかつた新しい領域の成果を加えて,Regulative Dilatationという新しい概念を提唱して,脚光を浴びている。独逸学派の中でも,H.Reindell等の考え方は,あまりにも,スポーツ心臓を合目的的に解釈し過ぎる点があるので,臨床家の間では,これに対する反論は決して少くない。ただ,米国でも,生理学者の間に,古いStarlingの法則に対しての反省が,最近見られて来たので,H.Reindell等の所説は,現在では有利な足場に立つているように思われる。
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