講座 図解病態のしくみ 循環器疾患・17
スポーツ心臓
松田 光生
1
1筑波大学・体育科学系
pp.1598-1604
発行日 1989年9月10日
Published Date 1989/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222687
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スポーツ活動など高度の運動トレーニングを持続すると,心臓の形態や機能に種々の変化が生じることは古くから知られていて,このような心臓はスポーツ心臓(Sports Herz,athlete's heart)と呼ばれている.心臓の肥大・拡張,および徐脈などの調律異常が代表的な変化であるが,これらは一般に高度の運動トレーニングに適応した生理的変化であると考えられている.しかし,心臓に生じている変化が生理的であるか,病的であるかを区別することが必ずしも容易ではない場合もある.実際,運動中に突然死を起こしたスポーツマンには,高率に肥大型心筋症が発見される1)から,スポーツマンに心肥大が見られた場合には,肥大型心筋症との鑑別が必要となる.また,適応の結果生じた変化が,障害を起こす要因として作用するという場合もないとは言えないであろう.ここでは,運動トレーニングにより心臓に生じる変化について述べるとともに,病的状態との関連についても述べる.
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