Japanese
English
原著
肺高血圧発生因子としてのCO2の研究
Significances of CO2 on pulmonary hypertension
本間 忠
1
T. Honma
1
1東北大学医学部中村内科教室
1Medical Clinic of Nakamura, Faculty of Medicine, Tohoku University
pp.643-653
発行日 1959年7月15日
Published Date 1959/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200793
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
緒言
肺高血圧を来たす原因として,一般にAnoxiaと肺血管床の解剖学的変化の二大因子が考えられ,就中Anoxiaが重視され,その方面の研究報告は数多くある。然しながら呼吸循環面でO2と密接な関係のあるCO2の増加,即ちHypercapniaの肺動脈圧に及ぼす影響にっいては一般に必ずしも注目されておられない様である1)2)3)4)。
中村5)は夙にこの点に着目,肺性心の発展にはAnoxiaの他にCO2分圧が多分に影響すると考えられる事を示唆したが,実際著者が経験した慢性肺性心の患者は何れもAnoxiaと同時に常にHypercapniaの存在を見た。又慢性肺性心に移行し易い進行した慢性肺気腫患者に於ても又Anoxiaと共に常にHypercapniaを見た。然るに慢性肺性心に移行し難い珪肺患者に於てはAnoxiaも軽度であるが,明らかなHypercapniaは認められなかつた。
以上の事実から著者はCO2はO2と共に肺動脈圧の上昇に一役を演ずるものと考え,先ず動物実験を行い,次で臨床的に観察し,若干の知見を得たので報告する。
Copyright © 1959, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.