Japanese
English
症例
憩室を伴える右側大動脈
A Case of Right Sided Aorta with Diverticulum
大原 到
1
,
石橋 孝雄
1
,
丹野 愛一
1
,
鈴木 宗三
1
Ohara I
1
,
Ishibash, T
1
,
Tanno A
1
,
Suzuki S
1
1東北大学医学部桂外科
1Katsura Surgical Clinic, Tohoku University Faculty of Medicine
pp.436-439
発行日 1959年4月15日
Published Date 1959/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200761
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
右側大動脈は胸部大動脈が脊柱の右側を下降し,大動脈弓は右側,左側或いは二重大動脈弓の何れかの位置をとつている大動脈畸形の一つである。右側大動脈の時は同側に大動脈弓が一緒である事が多い。レ線豫では通常大動脈弓は左鎖骨の下で胸骨左縁に球形に突出しておるのであるが,右側大動脈の時には,大動脈弓はこれとは鏡像的な位置を占めており,脊柱の右側に存在している。鳥類では常にこの形をとつている4)。
本症の自覚症状としては時に嚥下困難,咳嗽,或いは呼吸困難等を訴えるものがおるが,概して無症状のものが多く,日常生活を送つている、この診断の手掛りは患者の愁訴のみでは得られず,背腹方向よりとつた胸部単純撮影像で偶然発見される事が多い。大動脈弓の位置異常の為に,これを種々の縦膈洞腫瘍,例えば胸骨下甲状腺腫,結核腫,嚢腫,或いは無名動脈瘤と誤まられ,右側大動脈自身は上行或いは下行大動脈瘤,ホヂキン氏病等と誤診されている2)。最近憩室を伴つた右側大動脈の症例で,憩室自身を正常大動脈弓と誤り,右側大動脈の陰影が縦膈洞腫瘍と疑われた患者を精査する機会を得たので報告する。
Copyright © 1959, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.