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文献抄録
肺胞低換気症候群と呼吸中枢感受性低下—Tor Richter et al.:The New England Journal of Medicine,256: 1165, 1957.,他
The Syndrome of Alveolar Hyporentilation and Diminished Sensitivity of the Respiratory Center
伊井
1
1慶大内科
pp.597
発行日 1958年8月15日
Published Date 1958/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200658
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- Abstract 文献概要
健常人においては動脈血CO2分圧が僅か数mm水銀柱上昇することにより分時および肺胞換気量を2倍または3倍にさせるのに十分である。しかしながらこの単なる刺激反応も幾つかの因子がともなつている。動脈血CO2分圧の変化にともなうpHの変動,細胞間緩衝液が動脈血と呼吸中枢との間にさしはさまつている。換気反応は或種の不明なみちを通じて,例えば総緩衝塩基のような因子によつて左右される。多くの臨床家はCO2蓄積にともないこの巧妙な感受性は明らかに失われると述べている。この報告はかゝる特異性が実際にみられる症例である。その基本は呼吸中枢を障害されて二次的に肺胞低換気を来した患者である。患者は37才の男子で1952年日本の病院において心臓カテーテル検査の結果pulmonary arteriovenous fistulaの診断をうけ,1953年米国Colum—bia-Presbyterian Medical Centerでinteratrial defectの診断をうけたものである。
最も著明な生理学的異常は著明なCO2蓄積であり,分時換気量の増加の失敗であり,またCO2ガス吸入による換気反応の減少である。これらは肺胞性低換気および正常の化学的刺戟に対する呼吸中枢の感受性の障害である。我々の経験によれば真性赤血球過高症はそれ自体CO2吸入に対する呼吸反応を抑制はしない。
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