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大動脈弁閉鎖不全を有する患者において胸部大動脈内にEvans blueを注入し,その色素の動向を追究することによつて,心拡張期に際しての逆流血量を推測せんとする方法を案出し,8頭の犬について人為的大動脈弁閉鎖不全を作製する前後に実験を行い,また大動脈弁閉鎖不全を有する患者32例,それを有しない患者17例についても同様の観察を試みた。実際の操作は右側大腿動脈から挿入せるカテーテルを通じて大動脈の左側鎖骨下動脈起始部において第1回の色素注入を行う。色素注入には電気的装置を作用し,心電図R波出現後一定時間(0.4秒が最適)を経て心拡張期に相当して0.15〜0.62のEvans blueを急速に注入する。色素注入が心拡張期に一致して左側鎖下動脈起始部においてなされた場合,大動脈弁閉鎖不全の存する例では注入された色素の全量が一旦この部分から心臓に向かつて逆流せる後,次の収縮期に末梢血管へ送られることとなるので,同濃度の色素を含む血液が左側橈骨動脈及び左側大腿動脈を通過することとなる。そこでこの両末梢血管を通過する血液の色素濃度——時間曲線を別々に作製してみると,その曲線によって囲まれる面積は何れも略々等しく,比率Rは約1.0となる。
大動脈弁閉鎖不全を有する患者において胸部大動脈内にEvans blueを注入し,その色素の動向を追究することによつて,心拡張期に際しての逆流血量を推測せんとする方法を案出し,8頭の犬について人為的大動脈弁閉鎖不全を作製する前後に実験を行い,また大動脈弁閉鎖不全を有する患者32例,それを有しない患者17例についても同様の観察を試みた。実際の操作は右側大腿動脈から挿入せるカテーテルを通じて大動脈の左側鎖骨下動脈起始部において第1回の色素注入を行う。色素注入には電気的装置を作用し,心電図R波出現後一定時間(0.4秒が最適)を経て心拡張期に相当して0.15~0.62のEvans blueを急速に注入する。色素注入が心拡張期に一致して左側鎖下動脈起始部においてなされた場合,大動脈弁閉鎖不全の存する例では注入された色素の全量が一旦この部分から心臓に向かつて逆流せる後,次の収縮期に末梢血管へ送られることとなるので,同濃度の色素を含む血液が左側橈骨動脈及び左側大腿動脈を通過することとなる。そこでこの両末梢血管を通過する血液の色素濃度——時間曲線を別々に作製してみると,その曲線によって囲まれる面積は何れも略々等しく,比率Rは約1.0となる。
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