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文献抄録
人間に於て細胞外pHの変化が血清カリウム濃度と細胞内カリウムとの関係に及ぼす影響—J. M. Burnell, M. F. Villamil, B. T. Uyeno, B. H. Scribner./Pentolinium Tartrate(C5)静注により急速に惹起せしめた高血液患者血症動態及び代謝の変動について—Archer P, Crosley, Jr. et al Circulation 14:584(October) 1956.
The Effect in Humaus of Extracellular pH Change on the Relationship between Serum Potassium Concentration and Intracellular Potassium./The Acute Hemodynamic & Metabolic Response of Hypertensive Patients to Pentolinium Tartrate.
横山 剛
1
,
飯尾 正宏
2
1慶大内科
2美甘内科
pp.143,183
発行日 1957年3月15日
Published Date 1957/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200470
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以前からアチドージスの際には高カリウム血症が,アルカロージスの際には低カリウム血症がくる事が注目されていた。古くはGenn及びCobbらにより,in vitro実験でその因果関係が指摘されたが,最近に至り動物で細胞外液のpHの変化が体内総カリウム量とは関わりなく,細胞外液のカリウム濃度を変化せしめる事が報告された。今回は人間に於ても同様の関係がある事を報告する。
実験は5人の患者で9回の実験を行つた。pHの変化はNaCl,HCl,NH4Cl,NaHCO3及び乳酸ソーダ等の等張液の注入により,且つ1例は注入と吸入を併用した。実験の前後を通じて,Na,K,Cl及びN2平衡が測定された。9例の実験例では,いずれも細胞外pHの変化は血清カリウム濃度に反対方向の変化を与えている。細胞内カリウムの変化は僅かであり,1例の例外の他は血清カリウム濃度の変化と逆の態度をとる。細胞外pHが0.1変化したときの血清カリウム濃度の変化(ΔKs/0.1ΔpH)は,アチドージスでは0.50mEq/L.から1.20mZq/L.で平均0.68mEq/L.であり,アルカロージスでは0.40mEq/L.から1.0mEq/L.で平均0.58mEq/L.である。この実験ではpHの変化を代謝性,呼吸性とに分けて考察していないが,この様な血清カリウム濃度と細胞外pHとの相互関係は,下記の如く臨床的に重要ないくつかの問題を含んでいる。
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