Japanese
English
綜説
肝内血行系と抗原抗体反応
Circulation in Liver and Antigen-Antibody Reaction.
鈴木 忠彥
1
,
花谷 次郎
1
,
竹林 淳
1
,
岡野 正敏
1
,
亀井 良次
1
,
中作 修
1
Tadahiko SUZUKI
1
1大阪市立大学沢田外科教室
1Dept of Surgery, Osaka Municipal University Medical School
pp.768-774
発行日 1956年11月15日
Published Date 1956/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200429
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門脉圧亢進症の概念を確立したPresbyterian HospitalのWhipple1), Thompson2), Rou—sselot4, Blakemore4)等の業績は高く評価されてよい。然しPresbyterian学派の門脉圧亢進症の成因論になると問題がある。即ち門脉圧亢進症を肝内性閉塞によるものと,肝外性閉塞に由来するものとに大別し,前者の代表的なものとしてLaennec氏肝硬変をあげ,所謂Banti氏病を後者に位置づけているが,肝硬変の存する場合,細部に問題が存するにせよ,門脉圧亢進の招来せられることは,一応納得せられるところであるが,Banti氏病となると問題であつて,上記の主張に対し多くの反証を呈示することが出来る5)。
私共は以上のPresbyterian学派に対する批判から出発し,実験的に脾腫並に門脉圧亢進を作製するのに成功した。その方法は長期間に亘つて家兎を異種蛋白(卵白アルブミン)で感作可及的連日,静脉内注射することであつて,Presby—terian学派の主張に従つた機械的方法では永続せる脾腫及び門脉圧亢進を来たせしめ得ない事実に対比して興味深い。尚一部には肝,脾の組織像がBanti氏病のそれに酷似しているものゝ存することを附記して置く6)。
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