Japanese
English
症例
ネオシネフワン(ネオシネジンコーワ)と本態性高血圧に対する胸腰部交感神経切除術
Neo-Synephrin and its Use for Thoracolumbar Sympathectomy of Hypertension.
町田 弘忠
1
,
衣笠 昭
1
Hirotada MACHDA
1
,
Akira KINUGASA
1
1横浜医大外科
1Department of Surgery. Yokohama Medical College
pp.319-324
発行日 1955年5月15日
Published Date 1955/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200241
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1.はしがき
本態性高血圧の外科的療法として胸腰部交感神経切除がひろくおこなわれるようになつたのは,1940年Smithwick2)が彼の手術法とその輝かしい業績を発表して以来で,現在も主としてアメリカに於いて多数の患者が手術されている。吾々の教室でこの手術をとりあげてからすでに2年あまりたち,現在までに40例ちかい患者を手術した。その成果は第54・55回外科学会総会その他でしばしば発表してきたが,ここではこの手術に関連してネオシネジンコーワの使用経験を述べたいと思う。
元来,高血圧患者は麻酔をかけることによつて相当血圧が下降するもので,これに交感神経切除をおこなうとあたかも自律神経遮断剤による人為低血圧のように,血圧は急激にさらに著明に下降して多くの場合收縮期血圧100mmHgを割り,はなはだしい時には測定不能の状態になることもある。かような急激な低血圧は患者が高血圧患者であるだけに如何なる場合にも生体に対して好ましくない影響を与えるということは本手術を手がけた先人が等しく認めており,吾々の教室でもかような低血圧によつて術後無尿を起し尿毒症のために死亡させた1例を経験している。
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