Japanese
English
綜説
心臟停止による腦機能障碍
Experimental Study of Cerebral Damage Caused by Cardiac Arrest with Review of Literatures
堀內 藤吾
1
,
大原 到
1
Togo HORIUCHI
1
,
Itaru OHARA
1
1東北大学医学部桂外科教室
1Department of Surgery, Tohoku University. Faculty of Medicine
pp.66-74
発行日 1955年2月15日
Published Date 1955/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200202
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生命を再び蘇えらせたいという夢は人類の古くより抱いていた切なる願いであつたが,それが実地的な方法として歩み出したのは麻酔法の発見に続く外科の興隆期からである。即ち19世紀の終りから今世紀の初頭にかけて,クロロフオルム・エーテル等が発見され劃期的な発展をとげた,しかしそれと共に麻酔過誤による急性死が起り,之を克服し蘇生せしめんとの努力がはらわれて,心臟マツサージ・純酸素による人工呼吸・エピネフリンの心内注射等一連の蘇生法が確立された。心室細動の発生・除去に関する実験もPrevost及Ba—ttelliにより既に1889年に行われている。今世紀に於ける外科学発展の他の1つのピークは,近年の気管内挿管・閉鎖循環式麻酔法の確立と抗生物質の発見であり,これを楔機として特に胸腔内手術は飛躍的な進歩をみ,同時に最も重篤なる偶発症の1つである急性心臟停止の認識が急激に深められた。
最近この心臟停止症例は1000乃至2000例の手術に対し1例の割に発生しているといわれ非常に増加している。この理由は,従来見逃されていた急性心臓停止が外科医・麻酔医の注意深い観察により発見される様になつた事にもよろうが,胸腔内手術殊に心臟・心膜・肺門部・など呼吸・循環に直結した重要臟器に侵襲が加えられるようになつたからである。
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