Japanese
English
原著
犬第四腦室底尾側部刺激の循環呼吸に及ぼす影響
The circulatory and respiratory effect of the electrical stimulation on the caudal basis of the Ⅳ th ventricle.
上田 英雄
1
,
山井 宏
1
,
堀口 正晴
1
,
木下 正雄
1
,
島野 毅八郞
1
,
田部 穰
1
,
飯塚 恒治
1
Hideo UEDA
1
1東京慈恵会医科大学上田内科教室
1Department of Internal Medicine, Jikeikai Medical College
pp.240-246
発行日 1954年7月15日
Published Date 1954/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200166
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
まえがき
延髄の血管運動中枢に就てはOwsjannikow (1871)1)以来多数の研究があるが,就中Ranson,Billingsley(1916)3)は猫の第四脳室底を刺激して血圧下降領域としては閂のすぐ外側部,血圧上昇領域としては灰白翼の上端及び更にその上方のcolliculus facialisをあげた。Wang,Ranson (1939)4)は更に猫について精密な実験を行い,血圧上昇を来す部位は脳室底灰白質及び之に接する外側綱様質の背側部にあり,血圧下降反応を呈する部位は外側網様質の腹側部及び内側網様質中にあるが閂の附近ではその表層部にあるとした。久留,山本(1951)7)は猫についてこれを追試し延髄に於ける血管運動中枢は孤束の周辺部にあり,閂の附近には血圧下降点が,灰白翼上端附近には血圧上昇点が存すると述べた。久留,武田(1951)8)は更に「うしがえる」について実験を行い,その血管運動中枢は同様に孤束の周辺部,氏等の所謂骨盤迷走神経の終末部に近く存在し,血圧上昇部位は孤束の頭側半部に血圧下降部位はその尾側半部に存在すると述べている。
延髄の呼吸中枢についてはPitts,Magoun,Ranson(1939)5)に猫についての実験で吸気中枢はオリーブ核の頭側4/5の背側部を占める腹側網様質中にありとし,呼気中枢は吸気中枢の背側にあつて背側綱様質中にありとしている。
Copyright © 1954, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.