Japanese
English
原著
外科の立場より見た低酸素血症と腦循環に關する研究
Experimental Studies on Anoxemia and Brain Circulation from Surgical Viewpoint
中山 耕作
1
1東京女子醫大榊原外科
pp.51-62
発行日 1954年1月15日
Published Date 1954/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200137
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緒言
Anoxiaに關しては,古くから幾多の研究がなされていて,特に第一次大戰後に,此の種の研究が詳細に行われている。然しその對象とするところは偶發事故や航空醫學に關するものが,大部分を占めている。處が最近,開胸手術特に心臟外科の發達と共に,麻酔及び手術中のAnoxiaが問題とされ,此の再檢討を要する現状である。
生體はどの程度のAnoxiaに耐え得るであろうかという問題は,今日特に心臟外科醫にとつて重要な命題である。又心臟外科の對象が多くは慢性のAnoxemiaの状態にあるということが,更に問題を困難にしているのである。從つて,慢性のAnoxemiaの患者にはどの程度の代償機能が行われているか?同時に,此の患者に急性のAnoxiaが合併した場合にはどうなるか?此の代償機能の限界が何處迄あるか?を知る必要がある。此の間の問題を完全に理解して始めて,術中の偶發事項に善處しうるものであることを確信することが出來る。私は以上の見解から,Anoxiaに對して最も抵抗が弱いとされている腦の機能に就いて,特に腦循環の面から實驗を行つてみたのである。
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