速報
腦下垂體前葉の機能とその細胞配分に關する研究(その1)
伊藤 美彌子
1
1東邦大學醫學部産婦人科教室
pp.693-697
発行日 1953年11月10日
Published Date 1953/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200926
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I.緒論
腦下垂體前葉は末梢内分泌臓器の上位中枢機關であるが,近來の學説によれば下垂體自身も又これ等末梢臓器によつて影響を受けて居るとされている。前葉の細胞學的研究は,1884 Flesch u.Lothringer1)が前葉細胞を色素好性と色素嫌性に分類したに始まり,Schönemann (1892)2)は更に色素好性を酸好性と鹽基好性に細分した。Tr-autmann3)(1909)によれば酸女子性細胞(α細胞)は核強染原形質少量のものと,核弱染原形質内顆粒粗大なるのとの二つがあり,鹽基好性細胞(β細胞)はHämatoxyrin好染粗大顆粒の充滿したものとしないものとがあり色素嫌性細胞(γ細胞)は色素好性細胞より小さく原形質はHämatoxy-rin又はEosinに淡染輪廓不明瞭であり核は稍小であるという。Romeis4)(1940)は上記三種細胞の他にδ細胞,ε細胞の存在を指摘して居るが非常に少數であるという。三種細胞間の關係には種々の説があるが,Severringhaus (1933)5)によれば色素好性細胞の母細胞たるγ細胞には,α細胞型とβ細胞型のGolgi氏装置があり顆粒を生じて,各々α細胞,β細胞に變り得るが兩者間には直接易變を認めずと唱え現在最有力視されて居る。
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