論述
人體貯藏蛋白に關する研究(其の二)
吉村 壽人
1
1京都府立醫科大學生理學教室
pp.127-132
発行日 1952年12月15日
Published Date 1952/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905687
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4.蛋白缺乏時の生體の適應
攝取する食蛋白量が減ずる時は体内に於て分解せられる蛋白量も亦漸次に減じて食蛋白量とバランスをとるに到る事は既に前報に述べた所である(前報第1圖及第2圖參照)。この現象は結局生体が食環境の変化に対して示す一つの適應現象と見做す可きであるが,その機轉については二つの考えが可能である。その1つは生体の保有せる貯藏性蛋白が段々消耗するから,從つてその代謝量も亦減ずると言う考えであり,第2は生体蛋白の異化速度そのものが適應機轉により減ずると言う考え方である今実例を擧げてこの考え方を説明すると共に,その何れが正しいか吟味して見よう。
元来生体の蛋白代謝は前にも説明した様に代謝槽Metabolic poolを介して行われ,この代謝槽には第7圖に見る様に日々食物よりとつた蛋白材料Dが供給せられると共に,日々代謝産物Uを尿に排泄している。而して体蛋白の内には代謝の速かな所謂貯藏蛋白Rと,安定な固定蛋白Pがあり,此等は日々代謝槽より一定量づゝ新たに合成されると共に又一方陳舊な部分が異化せられ分解産物を代謝槽に出している。
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