Japanese
English
原著
人工心肺裝置における血液導管に關する基礎的研究—1.ガラス管のシリコン處理による血液凝固抑制作用について
Basic study concerning to Blood canals in Artificial Heart-Lung apparatus. 1. Blood Coagulation Control by means of Silicon Treatment of Glass Tubing.
井上 雄
1
,
石山 季彥
1
,
間中 亨
1
TAKESI INOUE
1
,
Suehiko ISHIYAMA
1
,
Tohru MANAKA
1
1慶應義塾大學醫學部外科教室
1Dept. of Surgery, Keio University
pp.121-124
発行日 1953年5月15日
Published Date 1953/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200089
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最近に於ける心臓外科の目覺ましい發展に伴い,歐米に於ては,人工的體外血液酸化循環機構,所謂人工心肺裝置に關する研究は年毎に盛んとなりつゝある。我々は昨年初めより,本裝置の作製を企畫し,まず各部分に關する基礎的研究を行つて來たので,こゝにその中の血液導管に關する基礎的研究の一部について報告する。
人工心肺裝置の導管内を血液が流れる場合,まずこれが凝固しない状態におくことが必要である。この爲には通常血液中に各種の血液凝固阻止又は抑制劑が注入されて居るが,その他,血液が接触する器具の界面に於て抗凝固性を維持することが肝要である。この手段としては接触界面の表面張力を減ずる方法,即ち界面の澄水處理を行う方法が最もよいとされている。パラフィニールングは古くから知られている手段の一つであるが,適應範圍が限定されている憾みがある。鹽化ビニール,ポリチエレン,メタクリレート等の合成樹脂製品は,この様な状性を持つているが,今日のところ血液導管としての實用性に乏しい。
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