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特集 薬剤性肺障害の臨床
抗リウマチ薬による薬剤性肺障害
Anti-rheumatic Drug-induced Lung Injury
亀田 秀人
1
Hideto Kameda
1
1慶應義塾大学医学部リウマチ内科
1Division of Rheumatology, Department of Internal Medicine, Keio University School of Medicine
pp.341-348
発行日 2013年4月15日
Published Date 2013/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102193
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はじめに
関節リウマチ(rheumatoid arthritis;RA)は,可動関節の滑膜炎を主体とした自己免疫性・全身性・炎症性疾患であり,何らかの間質性肺病変は10~30%の頻度で認められる.したがって,RA患者の治療中に間質性肺病変の新規発現あるいは増悪が認められた場合に,RA自体の間質性肺病変,感染症(特に免疫抑制関連の日和見感染症),薬剤性肺障害の三者の鑑別が必要となる.しかし,この鑑別が容易でない理由として,1)関節炎が寛解していてもRA自体による肺病変がしばしば生じること(臓器による活動性の乖離現象),2)上記の三者は独立排他的ではなく,むしろ相互に関連して病態を形成していると考えられる場合が少なくないこと(例えば,微生物学的検査で感染症の立証困難な少量の病原体で生じるニューモシスチス肺炎にはRAの免疫異常と免疫抑制薬による修飾の関与が想定される1)),などが挙げられる.したがって,本稿で取り上げる各治療薬に関連するこれまでの症例報告のなかには,他の治療薬以上に,どの程度“薬剤性”なのかが大いに疑問である症例が多いことを念頭に置く必要がある.その意味で,臨床診断が困難な自験2例を本稿ではあえて提示する.
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