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特集 内科医が診る 大人になった先天性心疾患―Adult Cogenital Heart Disease(成人先天性心疾患)
Fallot四徴症修復術後の成人期の問題点(不整脈,心不全,突然死)と治療
Long Term Outcome and Management of Adult Patients with Tetralogy of Fallot after Intra-cardiac Repair
立野 滋
1
,
丹羽 公一郎
2
Shigeru Tateno
1
,
Koichiro Niwa
2
1千葉県循環器病センター成人先天性心疾患診療部
2聖路加国際病院循環器内科
1Department of Pediatrics and Adult Congenital Heart Disease, Chiba Cardiovascular Center
2Department of Cardiology, St. Luke's International Hospital
pp.237-245
発行日 2013年3月15日
Published Date 2013/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102171
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はじめに
先天性心疾患は,心房中隔欠損や心室中隔欠損など単純先天性心疾患と複雑先天性心疾患に大別される.前者では小児期での心内修復術後は大きな問題もなく,成人期にも特に治療を必要とすることも少ないが,複雑先天性心疾患では生涯にわたり厳重な管理を必要とされる.外科的治療や管理の進歩により,成人に至る複雑先天性心疾患の割合は年々増加し,本邦においても2007年時点で成人の3分の1を占めるに至っている1).Fallot四徴症は,複雑先天性心疾患のなかで頻度の高い代表的な疾患で,出生1,000人あたり0.18~0.26人にみられる2).外科的治療をしない場合の自然歴は,1年生存率64%,10年生存率23%と予後の悪い疾患であるが3),近年はそのほとんどが外科的治療を受け,成人期を迎えることができるようになった.
術後の複雑先天性心疾患患者では,様々な遺残症,続発症,合併症に対して適切な管理が必要である.しかし術後に成人期を迎える患者群は,これまで存在しなかったため,経過や予後,治療法に関してエビデンスに乏しく,年々進歩する外科治療や,患者群の高齢化により,エビデンスも変化していくことが特徴である.これらのことを念頭に置いて,医療者は適切な管理を提供するとともに,新たなエビデンスを構築し続けることも要求されている.
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