書評
―久保惠嗣,藤田次郎 編集―『間質性肺疾患診療マニュアル』
巽 浩一郎
1
1千葉大学医学部・呼吸器内科
pp.106
発行日 2011年1月15日
Published Date 2011/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101622
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2010年10月10日,南江堂から久保惠嗣,藤田次郎両氏の編集による『間質性肺疾患診療マニュアル』が上梓された.遡ること2004年,南江堂から『特発性間質性肺炎診断と治療の手引き』(日本呼吸器学会びまん性肺疾患診断・治療ガイドライン作成委員会編集)が発刊されており,この時点における特発性間質性肺炎の解説がなされている.それから6年の歳月を経て,間質性肺疾患の病態・治療等に関する知見が少しずつ加わり,この時点で間質性肺疾患を裏からも含めて再確認してみようということになったと拝察する.
間質性肺疾患を理解するためには,画像と病理の対比が必要である.本書の第Ⅱ章において,伊藤春海先生(福井大学名誉教授)はご自身の40年の研究成果の一部をまとめておられる.その中でも印象的な記述をそのまま転記させて頂く.「間質性肺疾患の画像は,肺の構成単位である,細葉,小葉,区域等の気腔を埋めて形成される浸潤影よりは,温存された空気を背景に浮かび上がる,すりガラス陰影,網状影,粒状影が主体となる.そのため,間質性肺疾患の画像診断には,従来のような細葉や小葉に関するマクロ的解剖学を超えた,肺微細構造に対する理解が必要とされる.(中略)肺既存構造に対する考え方を変えることにより,画像の理解が変わり,かつ進化する経験を過去40年の間に幾度もしている.その原動力となるのが標本観察であることはいうまでもない.」
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