書評
―工藤翔二 監修 木田厚瑞,久保惠嗣,木村 弘 編―チーム医療のための呼吸ケアハンドブック
長谷川 智子
1
1福井大・基礎看護学
pp.645
発行日 2010年6月15日
Published Date 2010/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101503
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複雑化,高齢化する呼吸器疾患患者のケアには包括的呼吸ケアが必須であり,その包括的呼吸ケアを実践するためには,病院内の医療チームのみならず,訪問看護ステーション,保健施設を含む地域医療チームの協力が不可欠である.本書は,監修を担当された工藤翔二氏,編集を担当された木田厚瑞氏,久保惠嗣氏,木村弘氏という,わが国の呼吸器診療のエキスパートに加え,さまざまな領域の呼吸ケア専門家が包括的呼吸ケア提供のためにまとめ上げた1冊であり,呼吸ケアを提供するすべての医療者が利用できるハンドブックである.
日本における呼吸器ケアは,近年,劇的に変化し続けている.その背景には,患者の高齢化,疾患の複雑化・急性化,診療報酬の改正による在宅酸素療法と呼吸リハビリテーションの保険適用化,呼吸機能を支える医療機器の劇的進歩など,多くの要因がある.呼吸ケアにかかわる医療者は,さまざまな背景を理解した上で幅広い領域での知識と技術を持ち,患者・家族に合わせた包括的な医療を提供する必要がある.本書ではまず,呼吸ケアの軌跡と課題がわかりやすく述べられ,続いてチーム医療としての呼吸ケアのあり方が述べられているため,近年の動向と今後のめざすべき方向性が理解しやすい.
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