Japanese
English
綜説
心筋再灌流傷害―そのメカニズムとベッドサイドの対策
Myocardial Reperfusion Injury―From Bench to Bedside
小山 卓史
1
Takashi Koyama
1
1永寿総合病院循環器科
1Department of Cardiology, Eiju General Hospital
pp.931-938
発行日 2010年9月15日
Published Date 2010/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101546
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はじめに
虚血心筋を再灌流することによって生ずる様々な傷害は,心筋再灌流傷害と総称される.Klonerはそれを,以下の4つの病態に分類した1).それは,1) stunned myocardium,2) reperfusion arrhythmia,3) vascular reperfusion injury,4) lethal reperfusion injuryの4病態である.Stunned myocardiumは,時間経過とともに自然軽快する類いのものであり2),またreperfusion arrhythmiaに関しては,現代のような再灌流療法時代にあっては,カテ室でわれわれの眼前で起こる現象であるため,通常十分な対応が可能である.われわれ循環器内科医が急性心筋梗塞の治療としてprimary PCIを行う際に脅威となるのが,vascular reperfusion injuryとlethal reperfusion injuryである.急性心筋梗塞治療に際し,われわれは常にこの2つの病態のチャレンジを受けている.特にlethal reperfusion injuryに関しては,その病態の存在そのものが永らく疑義をもたれ,軽視されてきた部分もあった.しかし最近の研究でその存在が確実視されており3~5),われわれ循環器内科医はその軽減に努力していくべきではないだろうか.そうした観点から本稿では,lethal reperfusion injuryのメカニズムとその実臨床での対策につき,最近の知見を踏まえて詳述する.
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