書評
―大木隆生 編―胸部大動脈瘤ステントグラフト内挿術の実際
石丸 新
1
1戸田中央総合病院
pp.229
発行日 2010年2月15日
Published Date 2010/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101434
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本書の編者である大木隆生氏は,米国アルバートアインシュタイン医科大学血管外科学教授にして,東京慈恵会医科大学外科学講座教授・統括責任者の要職にある気鋭の外科医として知られている.米国での豊富な臨床経験を携え2006年に帰国.以来わが国の血管外科医の育成と血管内治療を中心とした先端医療の実践に日々奮迅する中で,やがてそれらの成果が編纂されることは必然であったといえよう.今回,胸部大動脈用ステントグラフトの国内導入時期に合わせ,満を持して本書を上梓した先見性と実行力には氏の面目躍如たるものがある.
欧米では1990年代後半に腹部大動脈瘤を対象として企業製ステントグラフトの臨床応用が開始されたが,わが国では専ら胸部大動脈瘤あるいは動脈解離について,手作りのステントグラフトによる治療が行われ,今日まで多数の治療経験がある.しかし,個々に手作りされたデバイスが使用されている限り,その治療手法に普遍性を見いだすことは困難であった.
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