Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
1966年にNational Academy of Sciences-National Research Councilから心肺蘇生(CPR)についてのコンセンサスが発表され1),米国心臓協会(AHA)は,気道(airway),呼吸(breathing),循環(circulation),鑑別治療(Definitive therapy)を一般的な蘇生の治療とすることを勧告した.以後,数回のガイドラインの改訂を経て,2000年に世界初のエビデンスに基づいた国際蘇生ガイドライン,心肺蘇生と救急心血管治療の国際ガイドラインが報告された2).その後,2005年にその改訂版が報告され3),現在2010年のガイドラインの改訂作業が進められている.
これらのガイドラインは,突然の心停止や生死に関わる救急心血管疾患の生存率を向上させるために,公表済みの極めて膨大な論文を多数の専門家が科学的に検証し作成している.しかし,このようなガイドラインにより治療方針が整備されているにもかかわらず,院外心停止の生存退院率は向上してきているものの依然として低い.766例の院外心停止後自己心拍再開を対象としたThe Ontario Prehospital Advanced Life Support(OPALS) Trialでは,院内死亡率は72%であった4).そしてわが国でも,目撃者のある心原性心停止蘇生後例の院内死亡率は90%と報告されている5).
生存率の向上に最も強く関与している蘇生法は,迅速な質の高いbystander CPR・自動体外式除細動器(AED)であるが,2009年には,蘇生後症候群の治療がクローズアップされてきている.そこで本稿では,質の高いbystander CPRと蘇生後症候群の治療を概説する.
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.