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はじめに
最新の睡眠関連疾患国際診断分類(ICSD-2)1)によれば,中枢性睡眠時無呼吸症候群(central sleep apnea syndrome;CSAS)は「中枢神経系あるいは循環器系の機能障害により,間欠的あるいは周期的な様相を呈して,呼吸努力が減少あるいは消失することにより特徴づけられる睡眠中の病的呼吸」として後述する6カテゴリーに細分類されている.
しかし「意外」なことに,本稿の主要なテーマであるcomplex sleep apnea syndrome(Complex SAS;Comp. SAS)に関する記載はみられない.その理由としては,Comp. SASは2006年に報告2)されたばかりの新しい臨床概念であり,その最大の特徴は閉塞性無呼吸(obstructive sleep apnea;OSA)イベントが主体の症例における経鼻的持続陽圧呼吸療法(nasal continuous positive airway pressure;nCPAP)による治療的介入の“結果”として,初めて明らかになる「二次的現象」ともいえる病態であることや,ICSD-2の発行以降に報告数が増加し,現在なお概念そのものに関する議論が続けられていることなどが理由として考えられる.また,ICSD-2ではComp. SASのみならず,閉塞型の亜型とされながら従来広く用いられてきた,混合性睡眠時無呼吸〔mixed(type)sleep apnea〕さえも“正式に”省かれたことから明らかなように,概念が可能な限り病因別に整理されていることも一因であろう.いずれにせよ,Comp. SASという概念は病因が不明なうえに,現段階では独立した病態かどうかすら未確定の病態なのである.
したがって,ICSDにおいてはComp.SASが正式な分類名として,あるいは独立した疾患概念として扱われていないことを前置きして論を進めなければならない.
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