巻頭言
慢性安定狭心症の治療について
小宮山 伸之
1
1埼玉医科大学国際医療センター心臓内科
pp.1197
発行日 2008年12月15日
Published Date 2008/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101167
- 有料閲覧
- 文献概要
わが国の医療費はOECD加盟諸国のなかで下位にあるにもかかわらず,政府は一律に抑制をめざしている.一方,医療技術は年々進歩し,高度医療が平均寿命の延びにも貢献していると思われる.その状況のなかで医療費の増加は当然のように思われるが,それを抑制しようとする政策には医療関係者からの反発が大きい.
では,循環器診療,特に狭心症の治療についてはどうであろうか.わが国では従来から経皮的冠動脈形成術(percutaneous coronary intervention;PCI)が主流といってよいほど普及している.さらに薬剤溶出性ステント(drug-eluting stent;DES)の登場により,PCIの適応が拡大しつつある.しかし,それらの特定医療材料は主に輸入品であるがために欧米諸国に比べても高額に設定されており,循環器内科の診療報酬高額請求書のほとんどはPCIを行った症例のものである.特にDESの時代では,病変のフルカバーがその後の再狭窄の予防に重要であるとされ,びまん性の長い狭窄病変ではDESが数本必要になることも多く,材料費の高額化の原因のひとつになっているとも思う.
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.