Japanese
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特集 脂質異常症治療の展望と課題
脂質異常症とメタボリックシンドローム
Dyslipidemia and Metabolic Syndrome
杉山 正悟
1
,
菅村 公一
1
,
野﨑 俊光
1
Seigo Sugiyama
1
,
Kouichi Sugamura
1
,
Toshimitsu Nozaki
1
1熊本大学大学院医学薬学研究部循環器病態学
1Department of Cardiovascular Medicine, Faculty of Medical and Pharmaceutical Sciences, Kumamoto University
pp.1131-1138
発行日 2008年11月15日
Published Date 2008/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101146
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はじめに
脂質異常症は高low-density lipoprotein(LDL)血症,高中性脂肪血症,低high-density lipoprotein(HDL)血症として認識され,これらの脂質異常症はそれぞれ動脈硬化性疾患の危険因子として重要である.LDLコレステロールは動脈硬化病変の形成・進展に重要な役割を果たしており,スタチンによる高LDLコレステロール血症改善は動脈硬化症治療において大きな貢献を果たした.現代の過栄養と運動不足の生活習慣は内臓脂肪蓄積によりインスリン抵抗性を惹起し,耐糖能異常,高中性脂肪血症,低HDL血症,高血圧の重積をもたらし,“メタボリックシンドローム”として高LDLコレステロール血症とは異なった形で大きく動脈硬化性疾患の発症・進展に関与する.
近年ではストロングスタチンやコレステロール吸収阻害薬の臨床導入により高LDLコレステロール血症の治療は充実し30%程度の心血管イベント発症抑制が達成されたが,依然として心血管疾患は大きな社会問題である.ポストスタチン時代の動脈硬化性疾患治療における脂質異常症,すなわち高中性脂肪血症,低HDL血症への治療介入が現代の心血管疾患治療に必要と考えられるが,その治療法と臨床有効性は依然として確立されていない.
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