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気管支喘息をめぐる最近1年間の話題―新薬と感染増悪
この1年ほどで数種類の喘息治療薬が新たに上市され,選択肢の幅が広がった.1日1回の吸入corticosteroid(ICS)薬であるciclesonide(CIC;オルベスコ®),long acting β2-agonist(LABA)であるsalmeterol(SAL;セレベント®)とfluticasone propionate(FP;フルタイド®)の合剤SAL and FP in combination(SFC;アドエア®)の市販が開始された.前年には吸入液剤のbudesonide inhalation suspension(BIS;パルミコート吸入液®)の市販が開始されている.特にCIC,SFCには既存の製剤よりも高用量の製品も加わっているので重症例への応用が期待できる.これらの新発売の薬剤と服薬については後述する.
経口薬ロイコトリエン拮抗薬(leukotrienreceptor antagonist;LTRA)に関連する話題を挙げる.遺伝子多型に関してはcysLT1R遺伝子における一遺伝子多型と1秒率の改善,増悪発生率の低下との有意な関連が報告されている1).また,尿中LT代謝産物(LTE4)が多いほどmontelukast(MK)への反応性が良い2).喫煙喘息患者ではICSよりもMKへの反応(1秒量の改善)がよい.さらにMK使用による朝の1秒量の改善は喫煙者のほうが非喫煙者よりも良い3).すなわち,MKの臨床的な効果はロイコトリエン代謝に関わる先天的な要素のみでなく,喫煙などの外的要素によっても左右される.MKは喘息患者の末梢気道病変にも有効で,HRCTで見た肺局所のair trappingを改善する4,5).オッシレーションを用いた生理学的な検討でも同様の結果6)が報告されている.
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