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はじめに
最近50年の発展国における平均寿命の延びは右肩上がりでとどまるところを知らない1).その結果,高齢者人口が急速に増加しており,わが国では2005年に65歳以上の高齢者が全人口の20%を超え,2015年には25%を超えると予測されている.さらに85歳以上の超高齢者の人口も2006年には300万人を超え,こうした年齢層の動脈硬化性疾患の予防,リスクファクターの管理がますます重要になってきている.
1990年代中頃に発表された4S(Scandinavian Simvastatin Survival Study),WOSCOPS(West of Scotland Coronary Prevention Study)をはじめとしたスタチンを用いた脂質異常症に対する幾多の大規模臨床試験のエビデンスから,血清総コレステロール値,LDL-コレステロール値の低下が虚血性心疾患の一次予防および二次予防に有効であることはもはや疑う余地はない.最近ではわが国においても大規模疫学試験が行われるようになり,このほど改定された動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007には日本人のエビデンスに基づく診療指針が多く盛り込まれている.大規模臨床試験は従来,一般成人(60歳以下)を対象とすることが多かったが,ここ数年,高齢者を対象とした臨床試験のエビデンスが蓄積され,高齢者の脂質異常症こそ積極的に治療するべきであるという考えが定着してきた.しかしながら,75歳以上の後期高齢者や85歳以上の超高齢者におけるエビデンスは乏しく,後期高齢者における脂質異常症治療については主治医の判断に委ねられているのが現状である.
本稿では高齢者における脂質異常症治療のエビデンスと超高齢者における脂質異常症治療の考え方について述べてみたい.
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