Japanese
English
Bedside Teaching
心Fabry病の診断と治療
Diagnosis and Treatment for Cardiac Fabry Disease
竹中 俊宏
1
,
鄭 忠和
1
Toshihiro Takenaka
1
,
Chuwa Tei
1
1鹿児島大学大学院循環器・呼吸器・代謝内科学
1Department of Cardiovascular, Respiratory and Metabolic Medicine, Kagoshima University
pp.777-781
発行日 2007年7月15日
Published Date 2007/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100836
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はじめに
心Fabry病は,先天性スフィンゴ糖脂質代謝異常症のひとつであり,多臓器障害を呈するFabry病の一病型(亜型)である.Fabry病は,リソソーム病と総称される疾患群に属し,細胞のリソソームに存在する加水分解酵素のひとつであるα-galactosidase Aの著しい活性低下により,α-galactosidase A酵素蛋白の生体内基質であるスフィンゴ糖脂質,なかでもglobotriaosylceramide(Gb3)が全身の細胞のリソソームに進行性に蓄積し,心臓を含む全身の臓器障害や症状を呈する1).これに対し,心Fabry病では,心臓の細胞へのスフィンゴ糖脂質の蓄積により,左室肥大をはじめとする心障害や心症状を呈するが,他の臓器障害やそれに伴う症状を欠く1).心Fabry病は,原因不明の左室肥大を有する患者のなかに,これまで考えられていたよりも高い頻度で存在することが報告されている2~4).
心Fabry病を含むFabry病に対しては,その病因に対応した根本的治療法のひとつである遺伝子組み換えヒトα-galactosidase A酵素蛋白を用いた酵素補充療法が開発され,その心病変に対する有用性が報告され始めている5~8).この酵素補充療法は,2004年4月から本邦でも一般臨床応用が可能となっているため,原因不明の左室肥大を有する患者に対し心Fabry病を含むFabry病の鑑別を行うことは,臨床的に極めて重要と思われる.
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