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綜説
心筋興奮モデルのスパイラルカオスと細動および除細動
Spiral Chaos in Cardiac Excitation Model Relating to Fibrillation and Defibrillation
丸山 徹
1
,
坂口 英継
2
Toru Maruyama
1
,
Hidetsugu Sakaguchi
2
1九州大学健康科学センター
2九州大学大学院総合理工学研究院
1Institute of Health Science, Kyushu University
2Department of Applied Science for Electronics and Materials, Interdisciplinary Graduate School of Engineering Science, Kyushu University
pp.1099-1104
発行日 2006年10月1日
Published Date 2006/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100473
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はじめに
心臓突然死は米国で年間約30~40万人,わが国でも年間約3.5万人と推定されている.その基礎心疾患の内訳は日米で大きく異なるが,推定心原性要因はいずれも共通して約8割が心室頻拍(ventricular tachycardia,以下VT)や心室細動(ventricular fibrillation,以下VF)などの重症心室性不整脈からの心停止である.これらの致死的な心室性不整脈の発生には渦巻き型興奮旋回(スパイラルリエントリー)が重要な役割を果たすことが近年明らかになっている1,2).とりわけ心室細動という極めて不規則で高頻度の心室興奮は非線形物理学では興奮系に生じるスパイラルカオスの一種とされる.
今回は渦巻き型興奮(スパイラル興奮)の概念を説明し,非線形物理学の立場からスパイラル波動の不安定化のメカニズムを探り,スパイラルカオスを除去する理論的方法を考察したい.
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