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心疾患の男女差についての最近1年間の話題
この1年間で最も変わったことは,性差という視点が,日本の医学界で大きく取り上げられるようになったことである.性差医療の概念は,米国における女性の医療の見直しから始まった.性差医療(Gender-specific Medicine)とは,男女比が圧倒的にどちらかに傾いている病態,発症率はほぼ同じでも,男女間で臨床的に差をみるもの,いまだ生理的,生物学的解明が男性または女性で遅れている病態,社会的な男女の地位と健康の関連などに関する研究をすすめ,その結果を疾病の診断,治療法,予防措置へ反映することを目的とした医療改革である.日本の学会でも,この2年間で性差ないしはGenderを応募演題のキーワードとして掲載する学会が増えてきた.日本循環器学会,日本心臓病学会などもGenderをキーワードとして取り上げている.しかし残念なことにまだ応募演題数は極めて少ない.今年度の米国の循環器学会,心臓病学会の抄録をみると,Genderというkey wordに50以上の演題が採択されている.
2002年から2003年の心疾患の男女差における報告のなかで最も注目を集めたものは,1991年に更年期女性のQOLを脅かす疾患の研究を目的としてNIHが立ち上げたthe Women's Health Initiative(WHI)プロジェクトの一部中止である.2002年7月,WHIプロジェクトの大きなテーマであった「HRTによる虚血性心疾患の一次予防」研究が,子宮を有する女性群ではHRTによるメリットよりデメリットが上回ったとして,一部中止になり,全世界の循環器科医および研究者に大きな衝撃を与えた1).
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