Japanese
English
増刊号 図説「胃と腸」画像診断用語集2022
病理
類上皮細胞肉芽腫
epithelioid cell granuloma
二村 聡
1
1福岡大学筑紫病院病理部・病理診断科
pp.731
発行日 2022年5月24日
Published Date 2022/5/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403202888
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
類上皮細胞肉芽腫は,“類上皮細胞の集簇により形成された結節状病変”と定義されている.その大きさに関する明確な規定はないが,顕微鏡的にようやく視認可能なものから,肉眼的に粒状構造物として指摘可能なものまでさまざまである.類上皮細胞はクロマチンの繊細な類円形核と弱好酸性の豊かな細胞質を持つ細胞である.一見,上皮細胞に類似した形態を呈することから“類上皮細胞”と呼称されているが,単球・組織球系列の免疫担当細胞である.したがって,当該類上皮細胞は免疫組織化学的にはCD68を発現し,サイトケラチンなどの上皮性マーカーは陰性である.
典型的な類上皮細胞肉芽腫が出現する代表的な消化管疾患は,Crohn病,腸結核,サルコイドーシスである.また,遭遇頻度は極めてまれだが,小児科領域では慢性肉芽腫症が知られている.消化管の生検検体や切除検体に類上皮細胞肉芽腫が検出された場合,前述の疾患を鑑別対象とすべきである.なお,各疾患に出現する類上皮細胞肉芽腫には多少の病理組織学的相違点がみられることから,十分量の肉芽腫が採取され,かつ十分な臨床情報が提供されていれば,顕微鏡的に原因疾患を推定することが可能である.このことは類上皮細胞肉芽腫の病理診断学的意義でもある.
Copyright © 2022, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.