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1952年にGodwin1)により,LEL(lymphoepithelial lesion)という用語が唾液腺の病変に対して用いられ,本邦ではリンパ上皮病変と訳された.MALT(mucosa-associated lymphoid tissue)リンパ腫は1983年にIsaacsonらによって報告された疾患で,1984年にはlymphoepithelial lesionという用語が用いられている2).WHO分類のいわゆるblue book3)では,LELは3個以上の濾胞辺縁帯細胞が集簇し,上皮の変形・破壊を伴うものと定義され,腺組織で観察され,上皮細胞の好酸性変性をしばしば伴う(Fig.1,2).この腺管の“破壊”と“変形”がとても重要な所見であり,既存の腺管上皮内にリンパ球が浸潤するIEL(intraepithelial lymphocyte)とは区別される.
また,H. pylori感染に伴う活動性胃炎においてもしばしば好中球を含む炎症細胞が上皮内に浸潤してみられるが,それをLELと見誤ってはならない.LELはMALTリンパ腫の非常に特徴的な病理組織学的所見であり,定義上,濾胞辺縁帯細胞とされているので,腫瘍性の病変であればMALTリンパ腫以外ではみられないことになる.消化管領域において,胃MALTリンパ腫ではH. pylori陽性,陰性にかかわらず高頻度でLELが出現するのに対して,下部消化管病変ではまれである.また,MALTリンパ腫が形質転換してびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma ; DLBCL)となった症例でもLELがみられることもあるが,こういった症例はhigh grade MALTリンパ腫とするのではなく,DLBCLと診断すべきである.
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